風・雪花百世草牧童
大変厚く漉いた手漉き和紙を使用しています。その存在感はには圧倒されるものがあります。自然の染料が、この和紙に新たな息吹を吹き込み豊かな表情を醸し出します。茜、土、炭などを染料として使用しています。最高の和紙と自然染料の織りなす美しさ、漲る力強さをお楽しみください。和紙原料の楮、三椏、雁皮などを収穫した人々と最高の技でそれを漉いた人々。人と自然の共同作業の素晴らしさを改めて感じさせてくれます。
江戸時代後期に生を受け、明治時代から昭和初期に活躍した神坂雪佳の傑作と評価される「百世草」。深淵な力強さが漲る和紙に、横たわる牛と穏やかな童の表情が不思議な世界へと誘ってくれます。
風・大 樹
そのままでも美しい、厚く漉いた手漉き和紙に、その美しさにインスパイアされた炭一色が走ります。あまりに人工的になった日々に、ともすると人間一人ひとりが本来持っている清廉さ、強さを呼び覚ましてくれているようです。この屏風を前にすると、自然界のなかでの小さな存在である「自分」を思い出させてくれる様な気がします。
裏面は、厚手手漉き和紙をそのまま設えました。やさしい自然の白色の微妙な肌合いは、時と共に、より豊かな表情となります。注視すると、材料となっている樹々の繊維が照らされる明りによって、様々な味わいある表情を見せてくれます。
花・若冲天井画花
史実によると、鳥の子(とりのこ)和紙は西暦1338年ごろの記録にあらわれ、元々は紙色が淡く黄色味を帯び、滑らかな肌合が鶏卵を連想させることから「鳥の子」という名称になったようです。紙肌が美しく上品で且つ耐久力、劣化につよいところから永年保存の高級記録用に使われていました。
京都、信行寺に描かれた天井画からの木版版画から日本の春に咲く花を選び、上品で穏やかな鳥の子和紙の屏風に仕立てました。若冲の春がここに咲きました。
花・雪佳百世草狗児
季節は6月ごろでしょうか。初めて出会ったカタツムリに、仔犬は興味津々です。心和ませ、気持ちを穏やかにさせてくれる絵です。竹林の中、カタツムリをじっと見る太い輪郭線で描かれた白い仔犬。それをまた観察している茶色い仔犬。
雪佳「百世草」より「狗児」を屏風のモチーフにしています。
屏風表、屛風裏ともに厚手手漉き和紙を使いました。和紙には自然染料の柿渋と栗を使い、雪佳の「百世草」の世界が現代のライフスタイルに広がります。
花・雪佳百世草雪中竹
雪佳の「百々世草」は全三巻、60図からなる木版画集です。何れの作品も愛らしさに満ちたものばかり。明治42年(1909年)〜明治43年(1910年)、雪佳が43〜44歳のころに制作されたものです。そのなかより「雪中竹」という版画を屏風のモチーフにしました。
雪の残る竹林に顔を覗かせる1羽の雀。安らぎの世界へと誘ってくれます。竹林を想起させる染色を施した厚手手漉き和紙と、炭で染め上げた和紙を屏風表に仕上げました。静寂の中にも、見る人をほのぼのとした安らぎの気持ちにしてくれる屏風に仕上がりました。
鳥・広重梅暦
江戸の名所の多くは、花の名所でもあり、この2枚の絵は同じ頃に描かれた作品となります。
左:「名所江戸百景」のなかでも秀作とされる1つです。「真崎辺り」は、現在の東京都荒川区南千住の白鬚橋周辺を指します。その地にあった、当時人気の田楽茶屋の2階の丸窓から覗く景色。梅と部屋の椿とのコントラストが洒落た構図です。
右:「亀戸梅屋舗」は、かつて亀戸天神社の裏手にあった梅園で、龍が大地に横たわったような「臥竜梅」が有名となりました。柵の向こうに見える多くの人々からもその様子を窺う事が出来ます。画面手前に大きく梅の枝を描き、奥の景色を覗かせる構図は斬新で、ゴッホがこの絵の模写作品を残したことでも知られています。
鳥・広重春
ルームアクセサリーとして企画された小型屏風です。4点の作品で構成されています。江戸の風景を多く描いた歌川広重の復刻木版画です。
手漉き和紙を藍染した生地をベースにしています。江戸に春が巡ってきました。町人が待ち焦がれていた春です。隅田川の下流、江戸時代は大川と呼ばれた辺りの風景。遠くに筑波山が、通りの先に神社や鳥居が描かれています。手前には大きな八重桜が咲きほころんび、大川には帆掛け船が見えます。春の小魚、白魚漁をしているのでしょうか。空は晴れ、平穏で長閑な江戸の春です。
鳥・広重夏
古くは万葉の頃から、日本の人々は野に咲く草花や樹々を愛してきました。江戸期は、特に花卉花木を中心とした園芸熱には高いものがありました。現代の日本を象徴する花「桜」と聞いて多くの人が思い浮かべるソメイヨシノもこの頃に新たに生まれた品種です。日本の植物の魅力は海外にも伝えられ、世界へとその広がりを見せました。百合や椿、藤、紫陽花、ツツジなどは皆日本から渡り、様々な国で咲いているのです。
この夏の画は、広重晩年の大作であり、当時のベストセラーとなったシリーズ「名所江戸百景」からの作品の1つ。亀戸天神の境内を描いた作品。梅はもちろんですが、亀戸天神は藤の名所として人気のスポットでした。前面に大きく描かれた藤と、奥に描かれた太鼓橋との美しいバランスを楽しむことができます。
鳥・広重秋
広重の人気シリーズ「名所江戸百景」は、江戸(東京都内)の名所を描かれたものが中心となりますが、この作品は現在の千葉県市川市真間から臨んだ景色です。真間の手古那神社の近くには、紅葉の名所、弘法寺があり、作品の中央には、その弘法寺の継橋が描かれています。赤く色づいた楓の葉の奥には、筑波山などの山々が見えています。
花々の美しさとは別に、紅葉の葉の色の変化は秋の深まりとともに人々を楽しませてくれます。広重の描く秋を存分にお楽しみいただけますよう、こちらの屏風は全てを紅葉色に仕立てました。
鳥・広重冬
寒い冬の景色の中にも、しっとりとした優しい印象を感じさせてくれる作品です。昨日からの雪は、竹の葉には雪が積もる程だったけれど、今は小雪に変わり、静かな通りには元気な雀たちが飛び回ります。1枚の絵のなかに、江戸の生活の様子、静と動が画面一杯に描かれています。
藪小路は愛宕下通りの加藤越中守の屋敷の北側を虎ノ門に抜ける小道で、鬼門除けの藪があったことから付いた名前です。